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腎臓の病気

腎臓の病気 腎臓の形態と機能
栃木県獣医師会

腎臓は腹腔内背側に左右一対ある尿を生成する臓器で、尿管を経て膀胱につながっている。腎臓は皮質、髄質及び腎盂の三層からなっているが、皮質には尿を濾過する糸球体があり、髄質には尿を流して必要な物質の再吸収あるいは分泌を行う尿細管がある。

糸球体は毛細血管の塊で、内腔を流れる血液から液体成分のみを濾過して原尿を生成する。原尿は尿細管の中を通過する間に、体に必要な物質(水分、糖、ミネラル等)を再吸収されて正常尿となる。水分に関しては、糸球体濾過量の約90%が再吸収されて体内に還流していくとされている。腎盂には皮質及び髄質を通じて生成された尿を内腔に一時的に貯めておく機能がある。

腎臓の病気 腎臓の病気

腎臓にも他の臓器と同じように、血液の循環障害、炎症、変性、血管系障害あるいは腫瘍等の病気があるが、一般的によく見られる病気としては炎症と変性がある。炎症は糸球体(糸球体腎炎)、間質(間質性腎炎)及び腎盂(腎盂腎炎)に、変性は主として尿細管の上皮細胞(尿細管ネフローゼ)に発生する。

糸球体腎炎は、免疫反応によって起きることが多く糸球体毛細血管壁に障害が生じるため、血液の濾過が不十分となり乏尿あるいは無尿等の症状がでる。この結果、血中の老廃物を体外に排泄することが出来なくなり、尿毒症を発症するに至る。この型の腎障害はヒトやイヌに多く見られるものであるが、ネコでの発症は少ない。しかし、体内での免疫反応は同じように起きるにもかかわらず、なぜネコでは糸球体腎炎が少ないのかは不明である。

腎盂腎炎は、細菌性膀胱炎が逆行性に腎盂に波及し、腎盂あるいは腎実質に化膿性炎症を続発するものである。

尿細管ネフローゼは、ネコに多く見られる腎障害であり、各種の有毒化学物質を体内に摂取することにより尿細管上皮細胞に変性壊死が起こり、再吸収機能に障害が出る。故に、この型の腎障害では本来であれば約90%程度再吸収されるべき水分が垂れ流し状態となって多尿や多飲を招き、終には脱水に至る。しかし、この型でも病状が進展すれば、変化は間質や糸球体に波及して尿管の狭窄や糸球体炎を続発し、末期には無尿となる。

また、この型の腎障害がネコに多発する理由としては、現在我々が住んでいる社会には腎臓に障害を引き起こすような環境因子が存在し、ネコが日常的に行う毛づくろいにより、被毛に付着している汚染科学物質を長期間にわたって摂取するためと考えられている。

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