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公益社団法人 栃木県獣医師会

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牛のからだについて ~人体との比較~

ウシには、主に牛乳を搾る乳牛と食肉にする肉牛がいます。乳牛と肉牛では、一般的に乳牛の方が大きいのですが、肉牛は太らせるので体重では肉牛の方が重くなることがあります。

乳牛:体高150cm 体重700kg 乳量30kg/日
・乳牛は子牛を産んでお乳を搾るので、牧場にいるのはほとんど雌牛です。年間10ヶ月程度も牛乳を搾っています(すごいですね!)

肉牛:体高140~150cm 体重700~800kg
・1頭から取れる肉の量は、400kgから500kgくらいです。体格の大きい去勢牛と肉質のきめが細かい雌牛がいます。


ウシの足は左図のように左右ふたつの蹄にわかれています。そのため偶蹄類ともいいます。ちなみにウマは蹄が一つなので奇蹄類と呼ばれます(偶数・奇数と同じです)。
ウシ:体重600kg⇔ヒト:体重60kg
・ウシの体重はヒトの約10倍ですが、4本の脚の面積は大人のクツの大きさとほぼ同じ。
・脚1本ごとの体重としては、ヒトが30kgに対してウシは5倍の150kgもかかります。


ウシの歯は下だけ生えています
・ウシには上の歯がありません。
替わりに上顎にゴツゴツした出っ張りがあり、下の歯と摺り合わせて草を摺りつぶすようにして飲み込みます。
・飲み込んだ草は、巨大な発酵タンク=第一胃に入れられて、微生物による分解=発酵を受けて、ウシの栄養を作りだします。
・ウシは第一胃に住んでいる微生物のために、毎日大量の草を食べているのです。
・体の中に熱を生み出す発酵タンクを持っているので冬の寒さには強い反面、夏の暑さには弱く、温暖化は大敵です。


ウシは爪先立ちで歩いています
・一見膝のように見える後ろ脚の関節ですが、実は『踵=カカト』なんです。
・それではウシの『膝=ヒザ』はどこなのでしょうか?
・左図を見て頂くと…あ、ありました!でも、ずいぶん上にあるように感じますね。
・実は、イヌやネコの脚も似たような構造になっています。これは走ったり長距離移動するのに便利だからと考えられています。


ウシのお乳は何本ある?
・ウシのお乳=乳頭は4本あります。
・乳牛も肉牛も本数は同じです。
・ヒトは2ヶ所、イヌやネコは6ヶ所前後ですがブタは14~16ヶ所もあります。なぜこんなに数が違うのでしょうか?
・主な理由は『年間に授乳する頭数の違い』です。ヒトはせいぜい1~2人ですよね。でもイヌやネコでは2~3頭が当たり前。妊娠期間の短いブタだと10頭くらい授乳していることが多いのです。


牛乳はとってもすごい飲み物だ!
・牛乳はウシの血液から作り出されます。
・牛乳1リットルを作るために、血液が約400リットルも必要と言われています。
・乳牛のお腹にある太い血管。心臓から送りだされた血液がこの中を通って乳房に送り込まれます。そして血液が『乳腺細胞』に入ると、乳腺細胞から瞬時に牛乳が生み出されます。
・真っ赤な血液から、真っ白な牛乳が作られるなんてとても不思議ですね!
・牛乳は同じ重さのほかの食物と比較して低脂肪高タンパク、カルシウムも豊富です。


ウシは『反芻動物』といい、胃袋が4つあります。ヒトには消化出来ない植物のセンイを分解して、栄養を取り出すことができます。

ウシの第一胃は、食道が進化したもので、消化液が出る本来の胃は第四胃だけです。
焼肉屋では第一胃をミノ、第三胃をセンマイと呼びます。

ウシの胃の中で一番大きな第一胃の大きさは肉牛で約200リットル、乳牛では実に300リットル近くにもなります。ドラム缶一本が180リットルですから、いかに大きいか判ります。

乳牛が1日に食べる量は体重の約2%、水分を含まない状態で約30kgにもなります。
・意外な話かも知れませんが、ウシの胃では草を消化することが出来ません。『えーっ、何それ?』と言われるかも知れませんが、本当です。では、どうやって食べた草を消化しているのでしょうか?
・主役は巨大な第一胃の中に住んでいる膨大な数の微生物たちです。
・微生物は植物を分解して『お酢』の仲間を作り、ウシはそれを第一胃から吸収します。
・さらに、その微生物たちをどんどん殖やして第四胃に送り込み、栄養源としています。草の栄養+微生物の栄養・・・まるでハイブリッド車みたいですね。


反芻とは
・食べた草を胃から口の中に戻して、噛み返しをして食物の消化を助ける行動です。
・大昔、まだ野生のウシしかいなかった頃にはウシは強い肉食動物に襲われて食べられてしまう弱い動物でした。
・弱いウシは、肉食動物がいない時に地面に生えている草(=見通しの良い危険な場所に生える)を大急ぎで大量に食べてしまって、安全な場所に隠れてゆっくり消化できるように進化してきました。それが反芻なのです。

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